政略より愛を選んだ結婚。 ~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子/黒檀帛
壮大で楽しくないのだが何度も読んでしまう
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
ほとんどが愛を貫き結婚してしまった王太子の語りです。愛があればなんとかなると思っていたが、どうも違うらしいと気づいていく。でも、本当の始まりは彼の母親が国王に恋して無理矢理結婚したこと。復讐するのは王太子に婚約破棄された令嬢ではなく、国王であるパターンは初めて読みました。令嬢はすぐに別の男性と結婚し幸せのようですが(王太子の側妃にさせられないため急いだ)ほとんど触れられません。
国王が王太子が愚かな結婚をしようとしているのを諌めている事から、最初は復讐に王太子を含める気はなかったのでしょう。でも、王太子の娘が会ったこともない祖母(王妃)と同じ卑劣なやり方で勝手にライバルと思い込んだ令嬢(実は国王には本当の孫!)を陥れようとし、王太子がそれを庇った時、もはや情は無くなり、復讐の鬼となったのでしょう。幸せな結婚直前に横恋慕され、人生を狂わされた国王が哀れです。同志がいるようだし、本当の息子を次の王にできたけど、老いてますます憎しみに駆られる不幸な人生には本当に同情を禁じ得ない。無理矢理に王女を国王の妻にさせた隣国の王族は国王からだけでなく、多方面で恨みを買っているようですし、当然の報いかと思います。
しかし、王太子の妻に収まった女は少しでも嫌われないように努力する振りくらいすれば良いのに…王太子を落とした手練手管はどこいった?罪人となった娘のことはすっかり忘れているようだし、「私は悪くない!」と叫ぶだけしかできないとは頭が悪すぎる。どんどん愚かさが進み、重く暗くなるので読んでも楽しくないのに、心に残って何度も読み返してしまいます。すごい話しですが、ざまあされただれも反省のカケラもないので、星を一つ減らしました。
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