たいちゃんとこうたろう【コミックス版】
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たいちゃんとこうたろう【コミックス版】

うめしゅ

ほっこりとして、やがて悲し。

ネタバレ
2024年8月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 男はこうであれ、女はこうであれ、男のくせに、女のくせにと育ってきた私ですが、元々型にはめられるのが好きではなく、人様の生き方、考え方がどうであれスルー。十人十色、様々な人が居て色々な人生が有るからこそ芸術、文学が生まれて豊かになる。けれど、枠内にハマらないと許せない人が存在するのも世の中。無視すればいいのよと片付けるのは容易いですが、当の本人にとっては、やはり苦しい。全部が全部、押し潰されぬ強さを持参してる訳もなく、この作品のこうたろうさんも耐えられなくなって教師を辞めました。なるべく人と関わらぬよう、ひっそりと暮らしていました。その壁をあっけなく取っ払ったのは隣り部屋に住むたいちゃん。あ~、子どもって純粋で、タフで、尊い。たいちゃんはお母さんを早くに亡くした父子家庭。この二人の交流がとにかく良い。大人と子供の関係ですが、友愛を持ち、無意識に敬いながら温かい交流が続きます。この先、たいちゃんの範囲が拡がっていけば、軋みが生じるであろうし、変わってしまったならこうたろうさんが可哀想。元よりユートピアなど無く、完全平等も夢ではあるが、他人が持って生まれたものを否定無い世になって欲しい。この作品の皆が平凡で有りながらも真剣に生きている人達だから。私的には続編を読んでみたいけれど、その先が全部幸せとは限らないし複雑です。ピュアなたいちゃんの心をイジられたくないし、こうたろうさんが二度と辛い思いはしてほしくない。それこそ夢だけれども、この二人には、ずっとずっと幸せに笑っていてほしい。
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