どうぶつの国 完全版
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どうぶつの国 完全版

雷句誠

人間という凶悪な動物

ネタバレ
2024年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 捨てられた赤ちゃんが天涯孤独のタヌキに拾われて、愛され育てられていくというハートフルなオープニングに心和んで読み始めました。
ところが、赤ちゃんは成長して弱肉強食という残酷な世界を、弱者生存のユートピアに変えていこうとする。彼の志を折るような肉食動物との邂逅や戦闘があり、それでも少年は諦めない。百折不撓の精神が素晴らしいなとおもいました。
ただ、動物における弱肉強食は捕食のための必然の行為。代用できる食品があれば解決するものです。
人間はそうはいかない。不可解なエゴや欲望から支配や破壊を望むのです。なんとも凶悪な生物です。だから滅びるのです。
人口削減の必要性が説かれ、どんどん新生児の誕生が減っている現代の日本にあって、これは必読の書と言えるでしょう。
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