伊集院月丸の残念な霊能稼業
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伊集院月丸の残念な霊能稼業

魚住かおる

残念なヘタレで笑っちゃう、けど優しいんだ

ネタバレ
2024年9月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読切連作形式で、『悪霊退散大作戦』の続編シリーズ。
インチキ霊相談の主人公が本式霊能者の黒田に弟子入りするところから、タイトルも変更しての心機一転再出発での単行本化。こちらだけ読んでも大丈夫ではありますが、せっかく読むなら前シリーズも是非。
キャラクターは前シリーズからそのまま、新キャラクターも増やしつつ、基本コメディのオカルト漫画。本式霊能者に弟子入りという設定が加わったことで、前シリーズより少しコメディ度合いが減り、バディもの感がプラスされた気がします。前シリーズメイン「ダメな叔父さんと甥っ子」の組み合わせもめちゃくちゃ好きですが、今シリーズで比率が増した「正反対な二人」という組み合わせもよろしいです。
「エロひげ」やら「ブスロリちゃん」やらのアダ名の辛辣さに昭和を感じますが、そのアダ名に負けない生命力があるのもまた昭和感。けっこう本格オカルトだけど元気という、ちょっと珍しい作品でとても面白いです。
特に良かった話は、2巻収録の『悪童と雨ん坊』。主人公、甥っ子、黒田、三者三様の行動や、土着の風習のどうしようもない悲惨さ、そしてそれにとらわれない純朴さの救いが切ないです。
最終巻ではエロひげ主役のシリアス寄り話に涙し、最終回の“らしさ”に笑って、いったんこのシリーズとはお別れです。いつでも続きを描いてくれてええんやで。

キャラクターはそれぞれ、ダメなとこも良いところも魅力的なのですが、面白いけど私の趣味に合わないのが、ジャニ系イケメンのたっくん。どこに出しても恥ずかしい、ブスロリちゃんと一緒に「そーゆーとこだよ(怒)」って言いたくなるクズさ。彼女には絆されずに頑張ってほしいところですw
〜〜〜〜〜
各巻200ページ以上、12、13巻約180ページ。11巻から電子のみ。
1巻収録話には、シリーズ名が『当たって砕けろ!悪霊退散』という話もあり、その後、こちらのシリーズ名になっています。これ、主人公のヘタレ感が伝わってきてピッタリで、大正解だと思います。このシリーズ名が目に付いて作品を知った身としては、ほんとに変更してくれてありがとうの気持ち。
……前シリーズとの作品重複が出ているのはもう、単行本の出た順番の都合上、甘んじて受け入れるしかありません。こちらの1〜4巻、あちらの4〜7巻に、複数の話が重複収録されています。あちらの各巻にある作品内容文に詳しく記載されているのでご参照どうぞ。
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