ブルー!ブルー!ブルー!
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ブルー!ブルー!ブルー!

アマミヤ

不屈の積極性が魅力の大学生に絆されて

ネタバレ
2024年9月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ このBL、一見主人公桔平の行動の正当化がなされているが、また、バイトの動機も説明されているが、それでも危なっかしさは冒頭から漂う。
本条は過去を過去のものにしきってない部分があるのに対して、桔平は思い切った行動でスッパリと断ち切る。次に行けなかった者と、次に進めちゃう者と。バイクのモチーフは、そんな本条と桔平の対照を浮き立たせる。
しかしそのバイクの当初の使い方こそ、両人の間柄に特別感がまだ薄い時にもういきなりそう展開する?、という印象。誘い方も、本条の性格にしては踏み込んだ感、その上で桔平が現れたときの本条のリアクションは本条自身の唐突感への作者側からの言い訳に感じてしまう。
また、そこで互いの志向がわかってしまうきっかけとしているのも、なんだか後半の説明的シーン省略のための辻褄合わせのように見えた。
タイトルのブルーは夏の色からも来ているのかもしれないが、私の感覚としてはかなりグレーの印象。
二人の関係の発展に働くために、先生と先輩が作者に都合良く使われているようで、ナチュラル感が薄かった。
桔平のぐいぐいとくる行動は魅力的だ。
また、本条に掛かっている影と含みのある憂いは、桔平の関心を引き留めるに充分。ベスト姿もわかる。
肝心の本条の心の推移は多くを読み手に見せなかったが、それでも桔平が差し込んでくるギラギラとした明るい陽のようなアタックが本条を変えていったのは想像できる作品。
ただ、心の転換点みたいなものが、二人にとって過去となる出来事以降に親切描写してくれた方がありがたかった。いつの間にか、というのも世の中にはあるだろうが、ことふたりの場合は、ひと夏のあいだにどう…、という制約やら環境設定もちらつくだけに、畳みかけ的に欲しかった。
鍋、おもちゃの各エピソードも微妙な大袈裟感はある。しかし両人の関係性を測るエピには便利な小道具として機能していたのは、無駄がない差し込み方だったようには感じた。

終わり方は私はこれでちょうどいいと感じている。此までの本条の、立ち位置を不自然にジャンプさせてないから。
続きを描いたafter storyは反対に弾けてしまっていて、呆気。
もしも本編で及んでいたらレビューしなかった。
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