お前のほうからキスしてくれよ【単行本版(電子限定10P有償小冊子付)】
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お前のほうからキスしてくれよ【単行本版(電子限定10P有償小冊子付)】

やまやで

尊い。

ネタバレ
2024年9月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他人様の家なのに、妙に居心地の良いって有りますよね。それって環境であったリ、空気感であったリ。でも、一番は好きな人のスペースだからこそ安らげる。さらに、平気で服を借りたり、他人の香りを好もしく思うのは、DNAが近いと聞いたことがあります。
元営業部、今は経理に移った上野。その上野の自宅で寛ぎ過ぎな営業部エースの神田は、会社でカミングアウトした上野の、微妙な距離感などものともせず、有るか無きかの境界線をびょ〜んと飛び越えデレデレに懐いています。ある日、神田の毒父を目撃した上野でしたが、それとなく気遣い見守ります。そう。互いに憎からず思っているんです、この二人。上野が合間合間に見せる神田への慈しむような眼差し。このまま行けば相思相愛。けれど、踏み出せない上野には過去、友情から恋人にと信じた相手に去られた傷が。神田に好意を抱いても、別れるよりは良いと頑なに友情を保持します。それを突破した神田の、俺以外の誰かを選ぶお前のそばで笑えないの、唖然とさせられる告白に、上野の呪縛が解放されます。この二人の良い所は、互いの思い遣りと、きちんと向き合って話し合いが出来ること。これって出来そうでなかなか難しい。将来、二人に何があろうと向き合える賢さがあれば大丈夫。ただ気になるは神田父。どうしたって切れぬ縁であり、生きてる限り金銭要求は続くでしょうから。
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