セラピーゲーム リスタート
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セラピーゲーム リスタート

日ノ原巡

ノンケとゲイ描写のバランスが良すぎた

ネタバレ
2024年9月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ スピンオフから派生した作品の続編です。今作もノンケとゲイの価値観の違いやゲイ描写が丁寧!特に受けのゲイ描写が良く、卑屈なところやどうしても悩みを吹っ切れないところ、独特の思考や細やかな言動全てが「わ、分かる〜〜!」そこから少しずつ自分を変えて前に進むスピード感もベストな長さですし、強がる仕草も甘える仕草もリアリティがあって感情移入出来ました。相手が元ノンケだからこそ悩み続け振り回され続け疲れる思いをする部分も、抱いてしまえば…とシフトする思考もすごく分かる。
前作で発言した通りのキャラクター性で、だけど好きだから諦めきれないと必死にもがく部分がとても好きでした。攻めも就職当初の忙しさや「言わないと分からない」という思考や身勝手な部分はとても男性的で、思わず元カレを思い出しました。絶妙な「ゲイ思考」と「(ノンケの)男思考」が良いバランスで描かれています。個人的には抱こうとする受けを何とかえちで有耶無耶にして誤魔化すことができた時の台詞&表情が大変強かで憎らしくて(くそっ!でも好き!)となりました。圧倒的にネコが多いゲイ世界で受けだって基本ネコだろうにあんな抱かれ方されて言わされるの羨ましすぎます。結局振り回されてもああいう色々とずるいノンケが好きなんですよね〜。
病院のハラスメント描写も私は好きでした。医療系って大半はああいうところですし、なんならもっとエグい。まだ可愛い描き方です。おかげで、ご都合有耶無耶描写よりは「理不尽な激務に追われて恋人に構えない」部分に説得力がありました。そんな攻めにワガママ言いにくいの分かる。でも寂しいの我慢できないのも分かる。ど〜しても女に嫉妬するのも分かる。
あと私にしては珍しく受けが大好きにもなりました。とても人間性を掘り下げられていると思います。言動にブレがないので安心して読めます。オネェ寄りだと思いますが、ゲイらしくノンケが好きで、情緒不安定で、ノンケバイには女の影に怯え続けるしかなくて、マイノリティ故の居心地の悪さを感じている。それでも強かで、甘えたがりで、愛されたがり。強がっている姿も弱気になっている姿も魅力的でした。
男同士特有の描写もすごく好きです。えち描写が徐々に上手くなってるところも。1000字では書ききれない。
ただ、院長に関しては蛇足ですね。女ホルでも飲んでるのでしょうか?LGBTQ意識し過ぎて思想系にならないことを祈ります。
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