禁愛~獣人オメガバース~【単行本版】
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禁愛~獣人オメガバース~【単行本版】

ともち

良き、良き、良き。

ネタバレ
2024年9月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLは雲の上の夢世界と思っていたのを、神堕ちと云う作品で厳しい現実をまざまざと見せつけてくれちゃった、ともち先生の獣人Ωバース物語です。
獣人αの王子のバルトは、父王が旅先で手に入れたマヤという、何とも艶めかしいアルビノΩに心奪われます。読者の目でも、このマヤの妖しい美しさには感動。互いに成長し、運命の相手として強く惹かれ合うものの、国王の息子ゆえ個人感情は許されません。マヤを守るという名目で他の女性との結婚を強いられますが、息子を誑かすマヤを消そうとする父の元から二人して逃亡。その旅先で見せるマヤの、妖艶で有りながらも、赤子の様な愛らしい表情が、これ又、魅力的。この可愛さを留め見たくて、紙本を買ってしまいました。ついに、妊娠が分かり、大喜びする二人。が、アルビノは身体が弱く、バルドはマヤを失いたくない故に、子供を諦めてと頼みます。すでに懐妊したマヤは母性が生じ、そんな要求など以ての外。であれば、母子共に守るしかありません。双子が無事に産まれたものの母体の衰弱は激しく、苦悩の末、恥を忍んでバルドは久しく疎遠となった父の元を訪れます。何と、産まれた子供を跡取りに差し出すのでマヤを助けて欲しいと頭を下げます。うーん、子供より運命の相手を取りますか。実は、バルドの母親は、亡くなったのではなく、婚姻しているにも関わらず、運命の番と駆け落ちしたとの衝撃の真実を、父の口から告げられます。妻も子も運命の番に取られてしまった無念。マヤを憎む気持ちも納得。一気に父王の孤独が胸に迫ります。けれども、全てを達観した姿は、やはり一国の王のプライドを強く感じました。王とて孫は可愛く、二人の仲を認め、許すしかありません。紆余曲折を経て、すっかり好々爺と化した王。双子ちゃんはオセロゲームのように、不幸の駒を幸せに変えてくれました心地の良い読後感を味わい、辛い事が濃ければ濃いほど、ハピエンの明るさは最高。忘れ得ぬ一冊となりました。
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