ポーの一族 秘密の花園
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ポーの一族 秘密の花園

萩尾望都

エドガーの無私の友愛と人のエゴ

ネタバレ
2024年9月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 眠り姫を守るデジレ王子のように、棘ある薔薇の蔓に剣を奮うエドガーのカバーが、なんとも象徴的な作品です。
カバー絵通り、エドガーは弱って長い眠りについてしまったアランを、何を犠牲にしても守り抜きます。アーサー・クエントン卿との出会い、エドガー版『ランプトン』が描かれる過程も語られます。
アランに向けるエドガーの無私の友愛に、自尊心と忖度に満ちた自分の過去の友情を顧み、どんどんエドガーに惹かれていくクエントン卿。
成長した少年たちの友情に女性への思慕が絡んでしまうと、それはもう純粋なものではあり得なくなる。何故なら、伴侶を得て自分の血を残すことが、限りある生を消費する人という生物のDNAに刻み込まれたエゴイズムだから。永遠の少年達には無用の問題なところが皮肉です。
己のエゴイズムで人は不幸に陥っていく。なんとも、考えさせられる作品でした。
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