后と河
」のレビュー

后と河

山中ヒコ

龍の如き大河を御す壮大な中華ファンタジー

ネタバレ
2024年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 地方貴族の息子•王佳は、度々大きな被害を出す大河の氾濫をなんとかしたいとずっと調査研究してきました。その王佳が皇帝から呼び出され、治水を司る将作府に勤務すると同時に、その報告をするために夜は後宮で妃として仕えるよう言い渡されます。人手も費用も膨大に必要とする施作ゆえに1年間は皇帝の側で仕えることが決められて、王佳は後宮へと嫁ぐのでした。大河の治水のことだけを考えて生きてきた王佳は色恋とは無縁で、宮を訪れた皇帝を前に大いに困惑し恥じらいます。そんな王佳を「規則だから」と丸め込んでしまう皇帝とのやり取りがユーモラスです。将作府のリーダーの王悟は孝心篤く人望もある好青年ですが、字を読めないことに気づいた王佳は皆の前で指摘してしまいます。王佳は人の気持ちがわからない自分に落ち込み苦しみ、皇帝すら追い返してしまいます。そんな王佳を皇帝はさり気なくサポートするのでした。複雑な親子関係と多くの兄弟を持つ賢帝と、民のために大望を叶えようとするピュアで一途な王佳との壮大なファンタジーです。純情可憐な王佳はもちろん侍女の小梅やパンダの虹虹もモチモチと愛らしくて骨太なストーリーと絶妙なバランスでした。
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