猫になりたい田万川くん
」のレビュー

猫になりたい田万川くん

灯乃モト

甘いパフェに仕込まれた激辛デスソース

ネタバレ
2024年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 連載を追っていましたが4巻部分で脱落。5巻未読です。ショックから半年立ち直れずにいましたがようやく前を向けそうなのでレビューします。3巻分までは楽しく読ませていただきました。可愛らしい絵柄、じれキュン展開、人を猫として飼う意外性。ほんわかと温かい気持ちになりました。しかし4巻で突然不倫サレ妻漫画のような衝撃の展開に。男性向けで「不意打ちNTR」という、純愛だったのに突然彼女が他の男に寝取られるジャンルがあるそうですが、この作品も溺愛のふりをした「不意打ち修羅場」。甘〜いパフェを食べていたはずなのに、中に激辛デスソースが入っていた、みたいな。一線を越えたかどうかは関係ない。來生くんがタマさん不在の隙に、横恋慕する間男を連れ込んで同衾したこと、タマさんのことは後回しで間男を優先したこと、間男が居候するのを容認しようとしたこと、間男の増長を許したこと。百年の恋も冷めるには十分すぎる行いでした。遠距離から帰って来てからの、まるで離れている間に気持ちが冷めたかのような來生くんの塩対応。一秒でも早く会いたかったのは自分だけだったと突きつけられたタマさんの絶望。溺愛なんて続かないという現実を見たくなかった。おかげで全ての溺愛攻めを信じられなくなりました。私がBLに抱いていた「控えめな受けがそのままでもハイスペな攻めに愛される」というドリームが粉々に破壊されました。「攻めに尽くして愛される努力を続けなければ、簡単に愛は冷めるし他の人に奪われる」という現実を見せつけられました。私の地雷だっただけで、絵も話も丁寧でよくできた作品だと思います。でも「主人公に感情移入しすぎてしまう」「受けが辛い目に遭うのは耐えられない」という方が迂闊に手を出すと大火傷します。激辛ソースの下にまた甘いクリームがあるよと言われても、傷ついた舌はなかなか回復しないんです。不誠実なことをした相手を許せるのか?と問われているのは、受けではなく読者のほうかもしれません。長くなりましたが最後に來生くんに一言。猫失格?お前こそ猫ネグレクトの飼い主失格だよ!タマさんは私が保護するので、そんなに仕事も全て捨てて自分にベッタリな子がいいのなら、どうぞその泥棒猫と末長くお幸せに!
いいねしたユーザ13人
レビューをシェアしよう!