ジェラシー[コミックス版]
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ジェラシー[コミックス版]

スカーレット・ベリ子

麻美と浅生田に共感するためキツイ内容

ネタバレ
2024年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きになれない立場でレビューしたいと思います。好きではありませんが、人と人とが関わることで、それぞれの内面の抑圧されている部分が暴かれ、そのどろどろさに直面して苦しんだりする…そういう人の醜さ、どうしようもない業、みたいなのがリアルに描写されて、その部分はなかなか私も心を抉られるものがありました。まず、個人の率直な感想として、明虎と卯一が子供、いや、幼稚すぎて、'男性'としての魅力が皆無でした(笑)麻美さんは、母性愛が強いため、放っとけないのだろうな…。そういう男性に惹かれる女性もいるとは思います(作者さんでしょうか?)が、こういう場合、女性が母親代理のような役割をする関係になり、それが良い悪いとかは言えませんが、強すぎる母性は人をダメにする場合もあるよなと、冷静に見てしまい、物語に入れなかった、というのが正直なところです。卯一は、中身が無責任な赤ちゃん過ぎて、正直、ちっともエロくない…。まだ10代ならアンバランスさが魅力になったかもしれませんがもう成人なんで。明虎との絡みも、子供同士がじゃれてるみたいで、セッセッセーノと同じ行為にしか感じられなかった。卯一は何故か憎めないキャラ、ではないとは思います…正直、仏教の「餓鬼」に近い…欲しい欲しいと際限なく求める。だからちょっと気持ち悪さを感じます。最後、卯一はとうとう自分を客観視するということを初めて体験し、明虎の元を去ることにしますが、うん、赤ちゃんからちょっと成長したとはいえ、その成長のための周りの犠牲が多すぎでは…涙。実際卯一は、沢山の人から与えられ許されている事実があるので、あんな人格破綻の設定はちょっと無理がないですかね?親意外の人からの愛を感じることもあったでしょうに。己の欲望と衝動のまま相手を求め、すべてを顧みない破滅的なその様は、純愛とは程遠く、愛の物語というにはちょっとその次元が低い気もしました…人間関係や個々の内面までリアルに詳細に描写されているからこそ、その昇華先、暴かれ破壊された後の世界が描ききれていない、すべてが卯一と明虎の関係のためのお膳立てならあまりにも理不尽…泣となった感が拭えない読後感でした。でも、どんな有り様でも生きてる意味はあるし、卯一のような人に共感できずとも存在意義は否定できないし、と諦念の境地になったりして自分を納得させているところです。ほんとに世の中、色んな人がいますから…汗
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