このレビューはネタバレを含みます▼
小説でこの高評価はなかなかなく、イチオシ読者さんも多く、否が応でも高まる期待…そうは言っても直前に3作品も同作家さんのを連続して読んでましたので、ハードルを上げ過ぎないように読み始めました。結果、最初から最後までずっと(というのはなかなかない)面白かったです。
あまりに面白くて、これもなかなかないんですけど怪しくニヤニヤしながら読むというのが常態化していました。そんな風に読んで半分まで来た所で、強烈な起承転結の「転」がきて、久々に心底驚きました。素人ながら私にも「まず間違いないストーリーの核みたいなもの」は分かる訳です。だから今起きている事にも裏事情があるはずと、そこまでは分かるんですが、肝心のカラクリが分からずで、それがまたとっても楽しかったです。何と言えばいいか…そう、高レベルの手影絵を見ているようでした。全てを手で表現しているというのは分かるのに、どこをどうしたらあれ程まで様々な形を作り出せるのか、そこは分からない…みたいな感覚です。この感動するレベルの仕掛けが、恋愛だけの話を100%以上に面白くしていたと思います。
この「転」の衝撃はなかなかのもので、「相手を思いのままにするつもりが逆に…」の、どこかで見たような攻め様の姿に心底同情してしまいました。こういう天然受けくんの裏のない行動に、勝手に裏を見つけて翻弄される不憫攻めパターンというのは、なかなかお目にかかれないので新鮮です。
全くの余談ですが、番外編SSに「カクテル言葉」が出てきて、酒は全く飲みませんがヒントなしで一発で当てられたのが嬉しかったです。