プルーストの恋人
」のレビュー

プルーストの恋人

縞ほっけ

恋愛の切なさと幸福を感じる作品

ネタバレ
2024年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 三崎は、仕事も出来て人望も厚い西田と同期。二人は入社当初、仕事を通じてお互い気が合い、ある日西田が親愛の意味で三崎にキスをした。この事で二人の心に変化が起きる。ヘテロの西田は三崎の反応に、初めて男が可愛いと思い、三崎は心の通うキスが気持ちが良いものだと初めて知り、恋に落ちる。しかし同時に、西田は三崎からの好意や自身の感情をどう受け入れたら良いか分からず、その日以来三崎を避けるようになる。そして三崎は仕事へのやる気もなくし、西田への恋心を胸に秘めたまま気ままに男と遊ぶ生活を28まで続けていた。しかしある日三崎が一夜を共にした伊織が、翌日新入社員として入社してきて、そこから三崎と伊織の恋が始まる。三崎の抱える口に出来ない他者への恋心も、不安や会社で気丈に振る舞う姿、外で見せる無邪気さも、その全部を愛する伊織の熱情が、三崎の心を動かしていく。なかなか伊織に心を開けない三崎の葛藤や、変わらず愛を注ぎ続ける伊織の優しくて強い熱情、西田の思い等、恋愛の顛末を堪能できるとても読み応えのある面白い作品です。香りと共に記憶される心情描写も印象的でした。また、三崎の、仕事とプライベートのオンオフのギャップがすごくあるのが魅力的でした。オフは肩の力が抜けてて自然体なのが素敵。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!