の、ような。
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の、ような。

麻生海

正直さと気遣いのバランスが絶妙

2024年9月30日
物書きのキナホの元に、恋人のアキトが突然連れてきた二人の子どもは、事故で亡くなったアキトの従姉妹の遺児達だった。遺児の兄弟を引き取ろうとしない親戚を見てアキトが衝動的に連れて帰ってきたのが物語の始まり。
突然始まる子ども達との同居に、距離感を探りながら受け入れたキナホの度量の広さに脱帽です。
疑似家族になって、助け合い、感謝と笑顔を忘れないのがほっこりするし、気遣い過ぎずに正直に事情や気持ちを言葉にしていく事も、他人同士が家族になっていく過程が見えて、距離感が絶妙だと思う。
子ども達を引き取らなかった祖父母達とも連絡は取り合い、子ども達の母親との思い出を大切にする姿勢がとても優しい。
登場人物達にそれぞれスポットが当たる回があり、キナホ達以外の家庭事情も描かれて、物語が進むたびに、子育ての悩みや新たな展開があり、キャラの意外な一面が見えたり、作品世界に多面的な深みが出てとても楽しい。
作者様の別作品「それなりに~」のキャラ達が登場していて、彼らのその後も織り交ぜて今作品が読めるのも楽しい要素。
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