キラキラしても、しなくても 分冊版
」のレビュー

キラキラしても、しなくても 分冊版

小池定路

同じ男子校を舞台にした群像劇

ネタバレ
2024年10月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ まだ大人になりきれないDKの日常と、ゲイであることの不安、恋への憧れが複数のカプを通して丁寧に描かれます。「けいたとゆうき」親友にひっそりと片想いする高2の慶太の前に高1の悠貴が現れます。容姿だったりゲイであることだったり思春期らしいコンプレックスがリアルです。「しゅうとあまね」一番時間をかけて描かれるメインカプ。同じ「周」の字を名前に持つ2つ違いの幼馴染•しゅうとあまねが一年だけ一緒に過ごす高校生活を追います。「あおとあけお」ゲイとストレートの双子のお話。彼女のいるストレートの朱生に告ってきた長谷川くんを、朱生が双子の弟•蒼人に紹介します。「恋」が絡むと友人であることも難しくなってしまうやるせなさが辛いです。「まこととしずか」静ちゃんに彼氏ができて兄の誠に紹介してくれます。彼氏は可愛いタイプで、誠はなんとなく連絡をとるようになります。妹に誠実でいたいというお兄ちゃんの折目正しい真面目さが切ないです。「せととなかのとたかでら」仲の良かった中野が交通事故で亡くなって、世田は中野のいないことに慣れることができません。そんな世田に、中野と部活が一緒だった高寺が近づいてきて、そのお陰で世田は少しずつ日常を取り戻してゆきます。「あおとまこと」双子の蒼人と優しいお兄ちゃんの誠は同じ将棋部の先輩後輩です。その二人かお互いゲイということを知ります。全体を通して登場人物が交錯する群像劇はエロ未満で、痛くて苦しくて可笑しくて眩しいアオハルが多面的に描かれています。
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