毒を喰らわば皿まで
」のレビュー

毒を喰らわば皿まで

十河/斎賀時人

ヤバイ

ネタバレ
2024年10月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 漫画試し読み→漫画2巻まで一気読み→続きが気になって小説1巻一気読み→小説4巻まで一気読み、熱冷めやらず漫画や小説を読み返し、レビューを書きに来る。この一週間で寝不足です。ダイソン並みの吸引力です。とにかく美人で狡猾で外道なアンドリム様が最高でした。先に漫画を読んだということもありますが、漫画版のビジュアルの方がより艶っぽくて好きですね。読めば読むほどのめり込み、予想できない展開の数々、BL要素抜きにして物語として面白すぎました。よくある悪役が改心するやつじゃなくて、善人サイドにいたはずの登場人物が皆主人公に心酔して善悪がひっくり返っているのがなかなかにして痛快で面白いです。アンドリム様の鮮やかな手練手管と溢れる色気にページをめくる手が止まりません。寝る時間なくなります本当に。主人公以外のキャラクターもそれぞれのドラマがあって魅力的です。とくにジュリエッタとシグルドのCPが好きで、4巻ラストの、ジュリエッタちゃんが間違いなくアンドリム様の娘だと感じさせるところも最高です。1巻の結末はかなり悲しくなりましたが、番外編を読むとこれが二人の正解なのかなと感じさせられます。個人的に4巻の二人の始まりはかなり重要な描写に感じました。2巻〜4巻はアンドリム様が丸くなったように見えるシーンもあるけど、要所要所でちゃんと外道プレイをかましてくれるので安心して読めます。悪い笑みを浮かべて嬉々として人を陥れる賢く美しい受け、どこを取っても性癖でしかありませんね。そりゃーヨルガも惚れちゃうわよ。そしてアンドリム様はヨルガのことを「俺の愛する…」と何度も表現しているわりにすべて内言で、実は本人に言葉にして愛してると伝えている描写が一度も出てこないのも好きですね。
物語の最後の最後、なぜあえて1000年後に国を滅ぼすのかだけはイマイチ腑に落ちませんが、盛り上がった信仰がすっかり廃れるまでの過程をお愉しみいただいたということなのか?ヨルガは獣人化するのかな。あとは露骨なエロ描写があまり得意ではないので、雄だの雌だのとか孕むだの孕まないだの、理知的な登場人物ばかりなのにこと濡れ場においてはやたら動物的な表現をするというか、そのあたりの言葉選びや台詞回しがどうにも好みじゃなかったのだけ残念でしたが、それを置いてもあまりあるストーリーの充実感と魅力的なキャラクターが本当に面白かったです。もっと続きが読みたい。
いいねしたユーザ17人
レビューをシェアしよう!