このレビューはネタバレを含みます▼
ひえー怖かった。
こんなに短いお話なのにやられました…余韻残りまくりのあと引きまくり。
フェプラバが好きで、長嶺似の不穏な表紙に惹かれ買ってみたものの…こんなに上質なホラー揃いなら「東京戦慄奇譚」にすればよかったとちょっと後悔。
作中決定的な肯定描写はありませんが、端的にいうと、これは呪いのお話。
悪人は善人の顔をしてやってくるらしいので、初登場時の理人がやけに魅力的なのはそれを示唆しているからなのか。
理人との恋が成就し舞い上がっている梓に、運命をちらつかせ束縛を強めていく理人。もし理人が妖しいイケメンじゃなかったら即逮捕されるレベルの執着ぶり。しかし理人の何が怖いって、純粋悪といいますか、なんの迷いもなく梓を囲い込もうとするところ。縁があれば何をどうしたってくっつくものなのに、この2人はよくない意味でくっついちゃった感じ。
鬼電や出待ちで梓が追い詰められる様もすでにホラーなのですが、理人と離れたその後の梓の身の回りで不審死が多発するところがこのお話の真骨頂。
現場には赤い糸、亡くなるのはいつも梓の想い人。
3人目の通夜で理人に再会し逃げられないと悟った梓は、理人の紡いだであろう運命を受け入れることに…
以下勝手な考察。
こうしてまんまと梓を手に入れた理人だけれど、人を呪わば穴二つ。
囚われの梓を解放できるとしたら、それは呪い殺された彼氏たち怨霊が総出でやり返すしかないんじゃないかと思った次第です。