銀色のフラッシュ【新装版】
」のレビュー

銀色のフラッシュ【新装版】

ひだのぶこ

愛と羽ばたくフィギュアスケート漫画

2024年10月14日
こういうスポーツ漫画だったのね!、と改めて全編を読んでこの作品が描かれた時代性を大いに感じ取りながら、少し泥臭く、しかし同時に爽やかも柔軟に追求するフィギュアスケートの世界を楽しんだ。
因縁や血、宿命の対決、憎しみとかライバル意識。狭いムラ社会のようなフィギュアスケート界で、いつの間にかみんなが繋がっていく。
綺麗で華やかな舞台裏の悲喜交々…。
いろいろ無理設定も、当時なら不思議はない。何しろ、当時は女性の和服も珍しくはなかったし、根性論で頑張ればなんとかなるという発想も強かったのも、読んで違和感皆無。そんな時代背景に、強烈な家庭環境対比。あらゆる意味でドラマチック設定を狙った感があり、それでいて難しそうなこじれを収束へ向けていく、力づくのストーリー。
しかし、次へ次へと読ませて明日への希望へ。
あちこち塞がっているかに見えた先が、競い合いながら、また、支え合いながら、羽ばたく所を見つけていく。

フィギュアスケートの採点ルールからコンパルソリーがなくなり隔世の感あるも、トリプルートリプルについて、時代の幕開けも感じ取った。

主人公はフラフラしているかのようでいて、彼女なりのロジックは理解できる。
足元やジャンプ場面、少し物足りなさはあったが、フィギュアスケートが出来る環境確保は並大抵ではなかったのだろうと思うと、そんな時代にこういう漫画があったこと、それだけでも凄いことだと感じてしまった。

誠に狭い中で好きだ何だとやっていているが、一日中フィギュアスケートの事ばかりの練習漬けの彼ら、他に何も無いのだからしかたがなかったろう。

シングルスケーターには無理だろうと思われる技の習得(エキシビションではリフトさえ!?)や、いきなりの大舞台抜擢での活躍や、朝練のものすごさの学業との両立困難さの不思議だとか、いろいろあったけれども、それでも大いに楽しかった。
男性の雰囲気、ストーリー上では似せる必要性は当たり前にあったものの、それでも漫画全体としてのビジュアルは損していた、とは思った。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!