このレビューはネタバレを含みます▼
内容は警察外部セクタでサイバー犯罪対策課の下請け会社(潜入捜査ありの非国家公務員)の話ですが蛇足を少し。どなたか仰っていた"just on the borderline"がギリセーフでは?な件は仰られている通り"含み"があると解釈しました。本来の解釈ならセーフの"境界線上"ですが作中の里中のモノローグ(礼央くんのケース)から『悪意がないならセーフでは?』という心情と、しかしその行為は違法でアウト。またチームに関しても潜入捜査はマトリ以外法的に認められていませんので、この件でもアウト。色々かけていますよね、こういう刑事訴追されないであろう軽犯罪を"境界線上"とするなら「英語表記が冴えている」に同感です。
蛇足はこのくらいにして、本作は予備知識がある方が理解しやすいと思います。より多くの注釈か説明が作中にあると良いですよね。
例えば作中の『IPアドレス』はお手持ちのPCの場合、ハードのプロパティからの閲覧、もしくはコマンドプロンプト(windows システムツール内にあります)では「ipconfig」か「ipconfig all」のどちらかのコマンドでご自身のIPアドレスが見られます(IPv4の欄がIPアドレスです。普及率からIPv6はここでは割愛。ご興味の方はどうぞ)。個体識別アドレスのことで通信関連の機器類に割り当てられており個々の機器を特定出来ます。第三者に知られた場合ハッキングが容易になりますので要注意。
また『バックドア』はハッキングする為の「入口」で(「裏口」というよりは正面玄関くらい堂々と入れます)、普通に使っている分にはその存在があっても気付きません。その昔ファ〇ウェイ製品が世界的に問題視されていた内容の1つにこれがあったと思います。それ以外にもC国製品の殆ど全てに出荷時の状態で仕込まれているとその当時のN〇Kで特集を組んで放映されていましたが大分前で懐かしくもあります。こういった情報を入れてから読むと良いような…。
お互いの過去がかなり重い者同士の加藤と里中の歩み寄りが巻を進めるに従って見受けられて良かったです。チーム内では諜報機関かな?と見まごうくらいにスパイグッズの開発に勤しむ姿がコミカルだったり(発想が…(笑))、シリアスな場面にも笑いがあり、ハッキング等の頭脳戦も面白かったです。クララもたったし良かった(笑)。続編ないのかなぁ…。