前略 雲の上より
」のレビュー

前略 雲の上より

竹本真/猪乙くろ

空港及び関連施設、周辺環境ガイドブック?

2024年10月26日
空港愛が詰まった漫画。その趣味どっぷりだと楽しいと思うが、話13回に至るまで余りドラマ仕立ては強くないため(話は最終話まで全53話)、主人公桐谷の上司竹内課長の強引さ、上司として横暴が過ぎると思ってしまう私は一歩引いて読んだ。そんな上司につくことになった桐谷の悲哀を面白おかしく描いた趣向なのだろうとは思うが。職務内であろうとすれすれで強制力が仕事外にも及んでいる感じ。でもそこにも、どれだけ空港にフォーカスさせたいのか作り手の熱意も感じるし途中出場の鉄道派がかき回すことでより竹内のクセや桐谷の巻き込まれ具合を眺める展開に。タイトルは「雲の上より」とあるがどちらからというと「地上から」要素強し。主人公達の企業の事業内容が不透明で、かつ、仕事の連想がしにくい。その上で「評価」とは、一体なに?読み手にはそこもわかりにくい。出張を名目に次から次へと空港を紹介していくので雑誌連載形式で読んでいれば今回はどこかな?どうなのかな?といった関心は持てるかと思う。まとめて読むのは私にはきついものがあった。
左右開きで読むのをおすすめする。やはり飛行機や飛行場の雰囲気が横開きで堪能できるかと思う。
女性キャラに品があるのは良かった。青年漫画にありがちな女子の肉感がないところが嬉しいのだ。
隅から隅まで空港を見て回ることなどほぼないだけにそういう好奇心をものすごく満たしてくれる作品。途中出場キャラもみなアクが強すぎるくらいに強いが、作りが極端なところが乗れるかどうか。たとえば、時田さん、わたしは読んでいて、「時田さん、時田さんよぉ~」と感じてしまったり。大屋課長もわたしてきにはヤレヤレ、だ…。
でも、各キャラの濃さこそが本作品の色付けをしているため、それを否定してはこの作品の見どころをを読めていけないと思う。空港と会話…。最後まで桐谷よろしく、一介の読み手の私もすっかり彼ら独特のリズムに、振り回され続けたのであった。
全7巻。
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