不可視の愛を知る
」のレビュー

不可視の愛を知る

一色いち

目に見えなくても触れなくても

ネタバレ
2024年11月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本来二人が一緒にいる理由は、お互いが一緒にいたいと思いあっているから、でいいんだよなあと思います。それをこうも繊細に、何一つ蔑ろにせず、作品として成立させて、しかもこんなに読みやすく素晴らしい書物として手元に置かせていただいている!それだけで感謝の念に堪えません。いつも考えるんですが、確かに世間から見た関係性や感情なんかの「名前のつくもの」は大切です。それを元に法律に当て嵌めたり、大切にする理由にもなります。だけど本当はそれだけじゃなくて、名前のつかない、その名前の中に入りきらなくて取りこぼしてしまうようなものだって、大切な関係性や気持ちなのに。ただ一緒にいたい人だからという理由だけで一生一緒にいられるような、行政や世間体からの保証が、どうして夫婦にしか与えられないのか。どんな理由でだって、病める時も健やかなる時も相手を愛することを誓えるなら、二人の間での愛の名前が違ったって、関係性がどうだったって、一緒にいてもいいじゃん。結婚しとけ二人!!!と言うとまた名前に当て嵌めてしまうのですが、こうして何とか書き出してみても、文字にできないものを漫画という作品で読ませてくださってありがとうございます。何度でも言いたい。
牧緒さんの、飄々としているように見えながらも情が深くて熱いところ、めちゃくちゃかっこよくて好きです。人としてかなり好き。その強さの裏に弱さがあるところも、人間味があって奥深くて素晴らしい。いえ、心を病んでしまうほどの傷なんてないに越したことはないですが。侑さんの柔らかくて甘いような、人たらしめいた人懐こさも可愛くてとても好きです。きっと、人が好きだからこそ今まで距離感にずっと悩んできたんだろうなと思います。侑さんは逆に、弱みがあるように見えて、そこを受け入れて立ち上がる支えをもらったら、どこまでも強くなれるところが、二人の対照的な点として描かれているのかなと思いました。あとこの作品の好なところ、本編がシリアスめだからか、たまに出てくる二人の柔らかい笑顔や温かいやりとり、デフォルメ絵の可愛らしさがすごくいい!愛おしくなって抱きしめたくなります。大好き。こういう感じです、自分は生涯一緒にいたいと思う作品には、結婚してえと思っちゃうタイプです…。
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