ローカル女子の遠吠え【電子限定版】
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ローカル女子の遠吠え【電子限定版】

瀬戸口みづき

メジャー県?静岡の解説本

ネタバレ
2024年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 静岡といえば、お茶、みかん、サッカー、研ナオコさん、そのくらいのイメージしか持っていませんでしたが、これだけ自分の人生にほとんど接点のない県(ディスりではありません)のことを詳しく知ることができたのは、収穫でした。

登場人物がみな可愛くて「影の主役」があちこちにいます。そして「静岡に左遷されてきた」という、県民の皆様から抗議が殺到するのではないかと思われる表現を作中で堂々とされている「雲春さん」は、もはやダブル主演といってもいいほどの存在になっています。

そして、本来の主役の「りん子」さんは、もう10巻を超えても、いまだに同僚や周囲の人に心を開けていないのが、だんだん、残念な人に思えてきてしまいます。

頭脳明晰なようすが描かれるものの、過去のエピソードからすると、家庭が経済的にはけして安泰ではないのに、国立大を目指さずに私立の推薦に全力をそそいでいたり、スナックのママをして女手ひとつで育ててくれた母に向かって「虚業」と言い放ったり、なんというか、とてもチグハグなタイプの女性です。

初期のころは、そういう姿もどこかほほえましくありましたが、これだけ長期間、ムスッとした顔で同僚を批判する発言ばかりしている様子、そんな自分に苦しみながらも、ではどうすればいいかを実行に移さない様子、見ていてモヤモヤしてきます。

おそらく、20代後半にさしかかるであろう年齢の彼女には、もっと若さを楽しんでほしい、あなたの周囲には、素晴らしい仲間がいるじゃないのと言ってあげたい、こういうのを母親のような気持というんだろうなと、気づかせてくれる作品でした。
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