このレビューはネタバレを含みます▼
所謂闇バイトのような形で犯罪者になってしまった主人公こと怜慈のお努め明けから物語はスタート。
入所中に亡くなった姉からの手紙のままに実家に帰ると、知らない甥っ子こと光が家に引きこもっている。光とはなんだか相性が悪そうでこれからどう生きていこうか、、、てな感じで物語が始まります。
人が「普通」のレールから道を外すきっかけは、大きなものもあれば、小さなものの積み重ねもあります。上手く生きていけない自分に不安な思いを抱き始めた思春期に両親を亡くし、自分を大切に思ってくれる姉の幸せな未来の足枷に他ならぬ自分がなりつつある現実を怜慈は受け入れられず、単なるやんちゃな若者から反社会的勢力の端くれになってしまいました。出所後も尚彼に絡んでくる反社を見ると、昨今の闇バイトのニュースが頭をよぎります。
けど、そんな怜慈が自分の生き様を省み、完璧ではないけど自分なりに正しいレールを進もうと思えるようになったのは、天国のお姉様が残してくれた慈しみのおかげです。怜慈の出所日を忘れず待ち、生きづらさを抱えていた光を大人に育て上げたお姉様の生き方が、怜慈の希望に、光の前に進む勇気と愛へとつながったのでしょう。
ままならない人生に絶望する時もあるけど、誰かの小さな愛があればもう一度立ち上がる勇気は湧いてくるのだ、そんな希望を持たせてくれる物語です。
尚、akabeko先生の作品なので、2人のえっ/ちはちゃんとえっ/ちで素晴らしいです。
2人の間に芽生えた信頼とまだまだ幼い恋心の行方が気になりますが、とりあえずの2人のスイートな暮らしの始まりに乾杯。