そして長い夜が明けたなら
」のレビュー

そして長い夜が明けたなら

といけ

BLの枠に収まらない

2024年11月19日
感情よりも理性で関係を構築したいけど、感情を完全に排除することは出来ない。そもそも関係を構築したいと思うのは好意という感情があるから。でも、感情に流された関係だと、共にいる必然性、理屈がなくいつか壊れてしまう不安がつきまとう。人との関係を慎重に、時に哲学的深みにはまりながらゆっくりと歩み寄る2人。即物的なBLが溢れる時代に、近現代文学のようなこの作品は、とても貴重。作中に京都学派の哲学者三木清の言葉が挿入されているが、一世紀の時を経てもなお普遍的な問いを突きつける。人の弱さも、温かさも、寂しさも、優しさも、根源的なものは変わらない。
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