笑う鬼には福きたる
」のレビュー

笑う鬼には福きたる

山本小鉄子

面白さと笑いの中に人生の教訓も入ってる

ネタバレ
2024年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ マンガにしろ小説にしろ、作家さんは皆さん才能の塊・生きる奇跡だと思っています。その中でもヒット作を産み続けられる天才と呼ばれる方もいて…その内のお一人なんだなぁと改めて感じました。もの凄くインパクトがあるだとか、現実離れしたとかの設定や展開はないんですけど、多方面にずっと面白いんです。あ、キャラだけは皆個性的かもしれません。3巻全部でふんわりタイトルに着地させるセンスも素晴らしいです。
特に笑が危機に陥った時に救われるシーンが好きです。権造さんの言う「縁は巡るもの」とは、本質的にはちょっと違う気もしないでもないけど、言わんとする所は分かるような気がしました。それにしても久住さん…一体どの辺りの地位の人なんだろう?(まぁまぁ上っぽいけど、いつも一人でいるから上過ぎもしないのかな)と、本筋と関係ないけど、胡散臭そうなのに謎の爽やかさのあるキャラに興味がわきました。
最後の方で、笑と福富の社会的な立ち位置みたいなものが逆転して福富が焦ったり落ち込んだりする姿に、子を持つ親として考えさせられるものがありました。何も考えずとりあえず大学に行っても、自然に切り開ける未来(仕事)なんてないのだなと。生きる事に一生懸命で、何事にも前向きに真摯な姿勢で立ち向かい、自分のできる事・求められることに応えるうちに確かな未来が見えてきた笑は立派でした。結局、ラストは二人で未来を掴みますが、結果も過程も意味のある、面白いのにじんとくる良いお話でした。
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