このレビューはネタバレを含みます▼
さきしたせんむさんのホラーはしっとりしてて、怖いけど美しい。特にこの話は深い愛情が底にあるので、読んでいて切ない。キスすらできなかった恋人に、最後に優しいキスを交わして黄泉の淵から戻らせる、あるいは進ませる。死で別たれた2人が最後に会うのは昏い海。
最後のショッキングな絵面は効果抜群。どんな姿になっても愛しい恋人とキスできて良かったと思う。
肇が「植物は生きてる匂いがするから好きなんだ」と言ってたセリフが、ラストシーンの木の葉に表れてるのも良かった。肇はなんとしても光に生きて欲しかったのだ、という隠されたメッセージだと思う。
普段のさきしたせんむさんのハイテンションのマンガも良いけど、湿った愛情にくるまれたこんな話も良いなぁ…