エトランゼ
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エトランゼ

紀伊カンナ

優しい世界とままならなさ

ネタバレ
2024年11月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 再読。エトランゼシリーズ完結までのレビューです。

いまになると真央のこの頃の硬さが噓のようです。母親の死に加え思春期と難しいいお年頃だったのだろうなと。
それでも峻に少しだけ心を開いて島を離れる前夜に母との思い出の場所をあげるってシーンがいろんな意味でグググと胸にきました。
他にも胸に来たり、どこか懐かしく思ったりいろんな感情を呼び寄せてくれる作品。

春風のエトランゼからは嬉しくて泣くことが多かった。世界が優しいのです。
だからと言って日常ファンタジー寄りではないです。そういう優しい世界を作り上げる中で苦労して支えている人が存在する。出来ればしてあげたかったけど、出来ないままならなさを抱えている人もいる。

私たちもできることなら優しく生きていきたいけど、それが出来ない。自分の余裕なさだったり、ままならなさ。
そういうところのギリギリを描いて優しい世界を作り上げてくれています。
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