あなたの愛など要りません
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あなたの愛など要りません

新玉らん/冬馬亮

恋とはかくも不可思議なもの。

ネタバレ
2024年11月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ ラシェルは吊り橋効果で、心を揺さぶられただけ。たまたま孤児院でチャリティーをしていた際、賊の襲撃に遭ったのを騎士団長・ヘンドリックに救われたラシェルは、彼に一目惚れをして、公爵家に嫁ぐ。「あなたを愛する事は無い。」と言った男が徐々にヒロインに魅かれていくのがセオリーの中で。唐変木のヘンドリックは、自分が囲う平民のアリーこそが真実の愛の相手だと思い込み、何も悪くないラシェルを人の心を惑わせる魔女だと憎む。弟キンバリーとの想い出にも描かれる様に、そもそもヘンドリックには心が無い。賊との戦闘中、たまたま棍棒をふるって助けてくれたアリーに吊り橋効果で心を揺さぶられただけで。これを唯一無二の愛だと思い込む。貧民街に住むアリーが身体を売っているのを見て、襲われていると思い込み、相手に暴力を振るい、アリーが生活するのに苦労していたと「言われて」やっと。金で彼女を囲うのだ。んー。まともそうな子なんだが、アリー。それでいいのか。一度目人生で息子・ランスロットを庇ってヘンドリックに命を奪われたラシェルは死に戻った現在、予知夢(過去夢?)の様な夢を見る。ラシェルを殺してしまった直後、ヘンドリックは飛び降り死しているらしい。直情型の彼のする事だ。多分ショックのあまり、程度の事だろう。そこに本物の悔恨があったかどうか。彼には心が無いのだから。ラシェルの夢に出て来た青年が成長したランスロットだとすると。彼は数年後に母を二度目の人生に誘ったともいえる。そうなのかな。伏線回収頼みますよ!二度目の人生で人の心を持つ事になるのか、ヘンドリック!それとも弟・キンバリーのラシェルへの初恋が実るのか。(レビュアーさん達はこっちを希望するよねー。ええ、もちろん私も。)ラシェルが二度目の人生で周囲の人々に感謝してるのがすごく良い。こんな人たちに囲まれているのにヘンドリックはなぜ、こんなにも唐変木として育ったのか。その謎もいつか解けるのか。楽しみに待ちます。
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