このレビューはネタバレを含みます▼
Ωゆえに施設で育った高校生の足立優真は、新任の藤宮先生を一目見た瞬間に運命の番だと直感します。先生も同じ状態でそのまま番いそうになりますが、ギリギリで先生の薬指の指輪に気がついた優真はフラフラになりながらも逃げ出します。けれども発情フェロモンを振り撒いていた優真は、校内で不良のα•大崎に首を噛まれてしまうのでした。好きでもなく運命でもない嫌なヤツの番にされてしまった優真を、藤宮先生は卒業まで優しく力づけ、内定がもらえるように就職にも押し出してくれます。優真は先生に感謝しつつも、家族のいる先生にこれ以上依存してはいけないと、卒業とともに連絡を断つのでした。優真を次々と襲う不幸に読んでいてかなり削られます。ここぞのところで藤宮先生が現れて手を差し伸べてくれるのですが、優しい言葉と態度の陰で曰くありげに光る先生の目の光が不穏さを掻き立てます。常に暗い優真の表情も不憫さに拍車をかけます。メリバとまではいきませんが、運命のひとのためにαの能力を最大限に発揮する藤宮先生の行動は、他のBL作品とは一線を画すかと思いました。