このレビューはネタバレを含みます▼
まず、この本を目にして、真っ先に浮かんだのは鏑木清方氏の絵画、「妖魚」でした。おとぎ話や、夢の国ディズの人魚は可愛らしいものの、大人の私には、どうも納得する要素が無くって、アマビエ様の方が良いわと思ってました。が。わが美しきビィクターを描かれ、圧倒的画力の鹿島こたる先生の人魚は妖しい美しさで感動。
お話は、ヤ〇ザの水島がある夜、人魚らしきものを見ます。妖艶な人魚は暗い海上で異様な精彩を放ち、気迫ある水島でもゾッとするも、一瞬で恋に落ちます。とうとう自宅まで連れ帰り、何とプールで飼う?一緒に暮らす事に。ミロクと名付けられたそれは、どうして神は半身半漁の自分を作ったのかと、水島に語ります。全身全て魚であれば、寂しさも感じずに暮らせたものをと、今までの自身の孤独を吐露します。人の言葉を話し、人と同じ感情を持つ神秘的な奇体。周りの人間をことごとく虜にして狂わせて。まだ3巻ですが、題名通りだとすると悲劇?いや。心中全てがそうだとは言えない。再び海へと放たれ、孤独の中でミロクが生きるのを思えばですが。この先どうなってしまうのだろう。盲目の青年も気になります。過去、弥勒菩薩の御前で精通してしまった水島は、父親に激しい折檻を受けました。人魚を犯した今度は、どんな運命が彼を待っているのでしょうか。期待と不安で、心震わせながら4巻を待つことにします。