このレビューはネタバレを含みます▼
先生の作品は、人気・評価の高いものを中心に結構読んでいて大好きな作家さんです。…が、この見るからに怖そうなタイトルと、レビューに散見される「思ったより・きちんとホラー」「夜、トイレに行けなくなった」「本気で怖かった」というのを読んでしまっては、ホラー全般が苦手な私はなかなか手をつけられませんでした。そんな感じでハードル高く入りましたけど、人によるのかな?勇気を出して意気込んでた割に、そんなに怖くなくて安心しました。家に一人で居る時に物音に敏感になるくらいの心境の変化はありましたけど、変な所で冷静に「何だかんだ言っても生きてる人間が一番怖い」と思っているのと、単純に霊感がないので大丈夫でした。
あと、先生のユーモアラスな性格(だと思う)からか、ホラーな場面も心の叫びや会話が面白くて、どことなく明るいんですよね。「歓迎パーティみたいなノリで怪異が起こる」とか、霊が霊障を会得することを「宴会芸を会得する感じ」とか、怖さが薄らぐ例えが面白いです。霊に「憑かれたというより懐かれた」という表現も、「な」を付けただけで全然違う意味になるとか、言葉選び・言葉遊びのセンスの良さを感じました。
新宿駅の怪異は一番怖かったしハラハラしました。あとがきで先生のある体験が元になっているとは思いもせずで、日常の何でもないような出来事をあそこまで摩訶不思議なお話に変換できる技量は素晴らしいと思いました。