このレビューはネタバレを含みます▼
『僕の番はサラブレッドΩ』のスピンオフ。前作主役二人の俳優仲間•明るいムードメーカー千歳琥太郎とお兄ちゃんキャラな王賀夏目のお話です。ステージママな母親の命令で、子役から芸能界で活躍する夏目はΩであることを隠して俳優活動を続けています。誰にも知られてはならない辛く孤独なヒートの時期にβのコタが心配して訪ねてきてくれます。何度断ってもそっと寄り添ってくれるコタに、友情以上のものを抱いてはいけないと自制しながらもその体温を求めてしまうΩの性に夏目は苦しみます。コタもまた、夏目の運命の相手にはなれないβの自分がどこまで関わって良いのか悩むのでした。そこに夏目に大河ドラマの主役の話が持ち込まれます。1年以上のスケジュールを考えるとヒートを隠し通すのは難しく、母親は適当なαとビジネス番になるよう夏目に言い渡すのでした。前作同様オメガバ設定の解像度が非常に高く、第二性ならではの業やそれに振り回されるやるせなさが丁寧に描かれます。ΩはΩのβはβのそれぞれ劣等感を抱きながら恋も仕事も諦めない二人のお話には、もちろん礼旺と瑛斗も登場します。特装小冊子はそんな二人の甘い日々を垣間見られます。