月とピエタ[ばら売り]
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月とピエタ[ばら売り]

大地幹

両極の二人。

2024年12月1日
どういう意味で両極かというと、発達スペクトラムの方向性が両極であるという。発達スペクトラムのいびつさについての話。人間を構成する能力のうち、神経系の分野において社会で必要とされるもの…共感性、社会性、社交性、集中力、理解力、判断力、統合性、その他諸々。それらが偏って発達していたり発達できなかった人のうち、社会生活を送るのが困難なものを発達障害という。その中でもギリギリ社会生活を送れる人はグレーゾーンとされる。そのグレーゾーンの人たちの話。この作品内において、先生は集中力が発達し過ぎており、美大生くんは共感性が発達し過ぎているせいで対人関係が大変になっている、という構図。いわゆる生きにくい人たち。私はそういうはみ出し者や変わり者が大好きなんですが、全てにおいて平均値を至高とし、出る杭を打ってきた日本の教育社会においては、良くも悪くも弾かれる対象者なので。難しいテーマというか、作家さんに偏見があると反映されやすい属性を優しい目線で描かれている印象。作家さんの理解が深いせいもあるかな。真逆のスペクトラムが上手くいく好例。でも、結局のところ発達スペクトラムと人柄は別問題だからね。生きにくい、誤解されやすい、不器用ながらも誠実に生きてる二人。差別的表現にならないようぼかした言い回しをしているので何のこっちゃだと思いますが、個人的には大好きな感じのBLです。今のところ、どっちが受けなのか。それが一番気になります(笑)。美大生くんの絵を見ていると、先生受けかも、とワクワクしている。
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