互いしかいないという強さと弱さ





2024年12月2日
コガネとクロは、途中まで紛れもない親子として関係を築いていたので、後半の恋愛が混じってくるのに抵抗があるところですが、そこはこの作家さんの上手いところで、「ツルバミ」というコガネにとって見知らぬ青年を挟んだことで、かなりその忌避感が薄れました。目が見えないときの方が物事が見えて、目が見えるようになると見えなくなるものがあるというのは、私たちの身近に存在している真理かもしれません。今回の物語のテーマである「献身」は、相手がその行動をどう受け取るかというよりも、自分より大切な者へそうせずにはいられない強い想いと衝動だと感じました。この物語の重要なポイントとなっているスオウの薬作りもまた献身のひとつの形かもしれません。誰かに自分の「献身」を捧げるということは、哀しいけれど美しい人間の心のあり方ですね。

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jsucchiini さん
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ジユンチ さん
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