二重螺旋
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二重螺旋

吉原理恵子/円陣闇丸

ぶっ壊れ方が激しい

ネタバレ
2024年12月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵が好きで読んでいる作家さんなので発売当初原作があるとも知らず購入し、1巻目で突如倒壊家屋の下敷きにでもなったかのような衝撃に襲われ、それから早4巻ともなると大分頭の中が浸食されまして(笑)、長男雅紀ワールドにどっぷり。いわゆる機能不全家族の話ですが、きっかけは父親の浮気ではあるものの元々機能不全の要素があったのだと思います。4人の子供を育てる母親にして自立度も責任能力も低いとか、父親がいるにも拘らず長男が親役を担うとか、次男には良い子役をさせ家事負担をさせているとか(10歳の誕生日の本人に誕生日用の食事手伝わせます?)、長女は置いといて(笑)、末っ子くんの我儘放題も親が咎めるでもたしなめるでもなく、両親ともに甘やかす事と愛情を混同していようにも見え・・・こんな家庭のまま崩壊していって一番割を食ったのが長男。にしても、ぶっ壊れ方が激しい。元々懐いている次男に癒し(控えめ表現)を求める気持ちも分かるけれど欲求の満たし方が激しい・・・いや初っ端は犯罪。次男も良い子を通り過ぎて長男に対してザルか枠。何でも受け入れて良い訳では・・・とは思うものの描写が丁寧なので次男の心境も汲め、結果ジレる(笑)。作者様のお慈悲により長男が賜った(?)高い高い顔面偏差値は天空の顔面偏差値とでも言いましょうか、この最強装備をもってしても埋められない闇が深くて深くて底が見えない。長男のモノローグだけでまるっと1冊描いて欲しいくらいにこの人の心理に興味は尽きないです。長男のこのぶっ壊れ方が次男に対する執着・愛情だけに起因するものなのかもナゾが尽きない。ただ、ぶっ壊れ方が表面化している方がマシな気がするので次男ナオくんの今後が色んな意味で心配。末っ子裕太くんが早い段階で表面化していることから案外この子が一番マトモっぽい気がしてならないのと、ご学友桜坂くんの観察眼の良さに期待が膨らみ彼が番犬から忠犬になると有難いなぁ・・・と。次男くんの支えが欲しいところ。
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