執念に近い歪んだ執着愛を見た気がする

『スモーキーネクター』のスピンオフ。本編では、身体能力はズバ抜けているものの精神的に未熟で、自分以外の人間は無能と決めつけて疑わない幼稚さと、サイコパスっぽい冷徹さでトラブルしか生まない…ような役どころで厄介者だった桜次郎の話です。
どちらの作品もカテゴリーは「執着愛」だと思いますが、その性質は両極端でオセロの裏表くらい違う気がします。本編の二人はピュアで尊い愛、こちら（特に壱真）は暴力的で寒々しく歪んだ愛と私の目には映りました。出てくるワードが「奴隷」だの「ペット」だの人に対して、まして好きな人に対して使う言葉ではないのが大きいかもしれません。でもお互いの執念に近い執着は理解できるだけに、複雑な気分になりました。
桜次郎のしでかした不祥事において、彼は社会的には犯人であり加害者ですが、一人の子供として見た場合は被害者なのかもしれなくて、愛情をもって接してくれる人さえそばにいたなら被害者にも加害者にもならずに済んだのかもしれないと思うと切なくなりました。