このレビューはネタバレを含みます▼
オメガバース設定の無限大の可能性を見せられた気がしました。漫画でも小説でも「基本設定さえ押さえていれば、いくらでもアレンジ可能」というのは知っていましたが、相当数を読んだ今になっても新しい設定(タイトルにもあるギフテッドアルファ)に出会えて嬉しいです。他にもチラッとしか登場しませんが、神獣が存在する世界観も良かったです。
ストーリーも一冊としては充分な読み応えがありました。1箇所、読みが浅すぎても深すぎても真実を見誤る…みたいなところがあって、無駄に裏の裏まで読み過ぎた為に展開について行けなくなってしまったけど、それでもやっぱり面白かったです。
犯人を突き止める方法は、奇抜だけど頭の良い人特有の駆け引きや捌き方に感嘆しました。そんな特殊なアルファっぷりを見せつけるアスランなのに、ラストの方のシーンでは、章に対する要求?お願い?がドンドン細かくなっていって、駄々っ子みたいになっているのが可愛かったです。
それ以外にも、「自分を卑下しない」とか、「特殊能力に頼り切る考え方」とかに疑問を投げかけ考えさせる、人生の教訓めいた真面目な話も重みがあって心に響きました。
あとがきで、ムゼ王国にはモデルとなった実在する国があると聞いて驚きましたし、そういう話は聞いたことがなかったので新鮮でした。それを聞いて俄然興味を持ったので調べてみました。食べ物は難しそうだけどワインなら手に入りそうなので、飲んでみたくなりました。