断罪確定の侯爵家の娘なのに、名ばかり婚約者候補を本気で好きになってしまいました
四季夏果/御子柴リョウ
このレビューはネタバレを含みます▼
WEB版から大好きなお話です。四季先生のラブストーリーは、どれもヒーローとヒロインの心理描写が巧みで、いつも胸がぎゅっと苦しくなります。その切なさが好きです。安心安全保証の両片思いだから、存分に切なさを味わえるという。笑
特に、屋敷を追い出されたテレーゼが、キルギスの宿を訪れる場面。最初で最後の思い出にするつもりのテレーゼと、彼女との未来を見据えて喜ぶキルギス。対象的な2人の気持ちに心が掴まれました。
何と言ってもキルギス様の誠実さがすごい…!テレーゼに対して自分の行いは不誠実だっと認め、後悔し、今度こそ彼女を失わないために奔走する。テレーゼの気持ちを最優先した旅の道中での言動は、100点満点です。ヤンデレではないけれど、執着心強めで余裕がないところもかなりキュンとしました。ヒーローにモヤるポイントひとつもなし!
一目惚れとか、運命のつがいものとか、本能的に惹かれる恋愛小説も大好きなんですが、やっぱりラブストーリーの醍醐味と言えば、気持ちの移り変わりではないでしょうか。どんな出来事を通して、感情が変化していくのか、徐々に相手に惹かれていくのか。テレーゼとキルギスが恋に落ちていく様子や、信頼関係を築いていく様が丁寧に描かれていて、だから共感できるし、切なくなるし、物語に説得力生まれるんだと思います。これぞ私が求める恋愛小説です。素敵なお話をありがとうございました!
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