何それ愛かよ【単行本版】
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何それ愛かよ【単行本版】

ろじ

お互いしかあり得ない"最恐(強)"の関係性

ネタバレ
2024年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『青と碧』が大好きで当時から吉田くん、飯田くんのふたりが気になっておりスピンオフが始まったときは大歓喜。ずっと連載を追いかけていて、こうして一冊にまとまり何度も読めることをこんなに喜ばしく思う作品は初めてかもしれません。

BL沼にハマってから沢山の作品に触れていますが、BLのキャラはすごく出来すぎていると感じることも多くて(学生なのに言動から何から完成されすぎとか、立ち回りやら感情の処理上手すぎとか)、でもそもそもファンタジーだからそれはそれで楽しく読んではいるんです。そういう非現実を楽しんでいる側面もあるので。
でも時折こうしたキャラでなく「人」の「人生」を覗き見しているような、アルバムをめくりながら話を聞いてその一人一人を丸ごと愛おしく思うようなそんな作品に出会うとすごくグッときてしまいます。

「愛」と一括りに言ってもカタチは十人十色。ただひっそり募らせるのも、ふたり確かめながら育むのも、時に相手を想って身を引くのだって「愛」だと私は思います。
大人になるにつれ「恋」や「愛」と名前をつけて関係を築きはじめたらいつかどこか"終わり"も必ずあるものだと知ってしまっています。故になかなか踏み出せなかったり、逆に安心したいからとあえて関係に名前をつけたがる人も居るでしょう。

吉田くんと飯田くんの場合、そんな"大人の事情"みたいな前提のもとではなくて。
ただ遠慮せずありのままで接して居心地が良いからいつの間にか一緒の時間が増えて。
ありがちな出来すぎた"キャラ"なわけでもなく、互いに足りなかったり読みすぎたり捻くれたところもある"人"だからこそ、本当にたまたまお互いが一番しっくりきて傍にいる。その人以外あり得ない関係。打算なく成るべくしてそうなった。
「友達」でもあり「恋人」の限りではない、いや、めちゃくちゃ最強の…"最恐"の?関係性じゃん!と思いました。
関係に名前を見出す前に"死がふたりをわかつまで"なんて考えてる、何それ愛じゃん…!

ろじ先生、またひとつ自分にとって大切な作品となった1冊を生み出してくださりありがとうございます!願うなら『青と碧』『何それ愛かよ』の四人の人生をずっと覗いていたい…何度も読み返します。
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