雪と墨
」のレビュー

雪と墨

Marita

浅葱の幸せをこころから願います

ネタバレ
2025年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 感情がかつてないほど奥深くから掻き乱されるような感覚がありました。素晴らしかった。タイムトラベラーと転生者の物語で、設定も非常に細かく、簡単に共感なんてできないはずなのに、作者さんが造形された浅葱というキャラクターが本当に息づいていて、その孤独、恋の苦しみ、もの狂おしいほどの切なさに何度も息が詰まるような思いが込み上げました。普段BL読みなので何故こんな激しい想いに常盤が気づかないのか、すぐそばで別の女性を愛せるのかとびっくりしたけど、少女マンガジャンルなので同性であることは老竹くんと妹のように越えられないハードルであり、こんなに近くにいてもこの時代が浅葱の時代でなかったということなのでしょう。それでも、男の常磐でいてさえ焦がれずにはいられなかった浅葱が、それでも全てを諦めなくてはならなかった浅葱が、これから流す涙が全て喜びの涙であるように老竹くんと共に願いました。浅葱が姿を消す場面ではただただ涙が溢れ、こんなに静かにこころを掻き乱されたことがあっただろうかと呆然としました。ただ、女性の姿をした彼女があまり常盤と内面的に似た感じがしなかったので、BL読みとしてはやはり常盤と再会して欲しかった…。それでも、星5以外つけられない、忘れられない名作でした。もっとたくさんの人に読んでほしい!
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