十億のアレ。~吉原いちの花魁~【描き下ろしおまけ付き特装版】
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十億のアレ。~吉原いちの花魁~【描き下ろしおまけ付き特装版】

宇月あい

ガラスの天井を突き破ってほしい

2025年1月4日
現吉原が舞台だし、最初の数巻は恋愛がメインテーマかと思っていました。
現代社会における女性の地位や男尊女卑など、とうの昔に諦めて当然だと思い込んでしまっていることにハッとさせられます。アザミの伝統や常識と闘う姿や、それを支える人々がぶつかる理不尽なハードルは正に現代社会にそのまま投影できて、作者の力量に脱帽です。支配する側もそんなに悪気がないというか、常識の中で行動しているだけで、だからこそアザミは自分が何と闘っているのか分かりづらく、リアリティが妙に強いです。
おこがましいですが個人的には、自分では達成できなかったガラスの天井を突き破る望みを次世代のアザミに託し、陰ながら支える山吹の気持ちがよくわかります。認識しているか否かに関わらず、理不尽な差別を受けてきた全世代の女性に是非感じて欲しいメッセージが込められていると思います。
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