ヒーリングパラドックス 【電子限定特典付き】
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ヒーリングパラドックス 【電子限定特典付き】

昼寝シアン

リアリティの最高峰

ネタバレ
2025年1月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ ストーリー、キャラの作り込み、作画、構図、デザインetc全てにおいて、私的にシアン先生はやはり最高峰だな…と続巻を読んでしみじみと感じました。

フィクションをノンフィクションに感じさせる作り込み方がえげつないです。別作品でもそうですが、あくまで漫画なのに本当に人として2人が目の前にいるような肉感的な存在感に圧倒されます。
それは最高峰の作画技術による肉体的な意味でも、緻密に練りまくられたキャラクターの精神性の意味でも。

自分は執着系に興味ないんですが、それはほとんどが作り込み弱くてリアリティに欠けてるからだったり、自己中なだけの暴走だったりするからで(好きな人にはごめんなさい)
被虐趣味もないし、キャラやストーリー構成に説得力ないと白けちゃうんですよね。
カズマのここまでの執着やスパダリっぷりもフツーに描いたらフィクション臭すごくて読めないけど、そこに到るまでの背景や過程に現実味を持たせる手腕が、恐ろしいくらい緻密です。
何よりカズマの執着はあくまでナオトを第一優先にした上での執着で、そこにはきちんと本質的な愛があるのが良かった。
薄っぺらな執着は自己愛でしかないけど、カズマは本気でナオト自身を想っていて、だからこそナオトは落ちていったと心から納得できました。

現実的にあり得るかも、と思わせる人間の心の動きと身体の描写力がとにかくエグい。それらを成立させるための台詞選びも。何か心理学とか学んでらっしゃる??
仮にプロット構想はできたとしても描き起こす能力がないとダメな訳で、その技術がまたエグいです。
フィクションをそのまま楽しめる人はもちろんですが、自分のように創作であってもいかに「リアル」に近付いているかが評価基準になる方には、本当にオススメしたい。

2人が良い意味で軽さと重さのジェットコースターをかましてくるので、笑いつつも20年の途方もない重さや関係への葛藤が響いてきます。
Hシーンもここまで来るともはや芸術。。
箱庭の狂気と捉えるか、奇跡的な運命の純愛と捉えるかが背中合わせの超秀逸作品でした。
玉石混交の漫画飽和時代に、正に一粒の砂金をありがとうございました。

大好きすぎる作者様の素晴らしい続編に、鼻血ブーでキモ長いレビューすみません( ´ii`。)
終わるのが惜しいと後書きにあったように、私も惜しくてなりませぬ。。いつかどこかでまた2人のその後が見たいです。
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