夏揺らぐキミをおう
」のレビュー

夏揺らぐキミをおう

梅松町江

DKものと社会人もの2編

ネタバレ
2025年1月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作は高校2年の同級生の春から夏にかけてのお話です。科学部の武田は、同じクラスの榊が科学部顧問の菊池先生と人気のない準備室で何やらシていることを知ってしまいます。真面目で物静かな優等生の榊が昼休みに準備室に行く度にあれこれ思う武田は、ふとした時に初めて榊の笑顔を見て、いつのまにか自分が榊に恋していることに気がつくのでした。冬服が夏服に変わり、次第につのる暑さと行き場のない想い、煮え切らない自分とがなんともアオくて酸っぱい、DKものならではの情緒です。巻末の描き下ろし『春迷う、ふたり』では高3になった二人のその後が描かれます。 『Ching-a-ling Ching-a-ling』『Pitter-Patter Pitter-Patter』同じビルの休憩場所で知り合い、付き合い始めた圭介と滋さんのカップルのお話。付き合い始めたものの自分ばっかり好きなんじゃないか、重いんじゃないかと悩む圭介と、年上で余裕ありげな滋さんとの気持ちがだんだん恋人らしく寄り添ってゆきます。どちらも2011年初出の作品ですが、携帯に時代を感じるぐらいで古さを感じさせない良いお話でした。
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