血の轍
」のレビュー

血の轍

押見修造

苦しかった

ネタバレ
2025年1月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 途中からずっと涙が止まりませんでした。胸をかきむしられるように苦しい、辛い、でも最後まで読まなければという気持ちになる。紛れもない名作です。
静子は自分が与えられなかったことで背負った苦しみから、与える側に立つことで救われると思った。しかし子供を産んでも、大切に大切に育てていっても、一向にその苦しみから解放されない…。
静一が幼児の頃はかろうじて隠せていた異常な愛し方が、青年へと成長する過程で露わになっていく。
私は法廷で静子が放った言葉と態度に、吐き気がするほど憎悪を覚えた。しかしひとりの女として、静子の抱えていた思いも分かってしまう。異常だと切り捨てることができない。自分がこうならない確証など全くない。だからこそ恐ろしい。
女も男も。子も親も。かつては子だった者、そしてこれから親になる者も。皆一様に心がえぐられ血が流れる作品です。
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