水底の花嫁
」のレビュー

水底の花嫁

山野辺りり/DUO BRAND.

私の中では最高傑作です。

ネタバレ
2025年1月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ いつまでも読み継がれてほしい名作です。何年も前に初めて読んだ時の衝撃を、今でも覚えています。定期的に読み返しているので、もう何回目かわかりませんが、やっぱり面白いなぁと。セリシアが記憶を取り戻した場面、自分もその場に立っているかのような臨場感があって、ものすごくドキドキして、ページを捲る手が止まりませんでした。個人的に素晴らしいと感じる点はいくつもあるのですが、最も特筆すべき点は、後半の苦悩するヒーロー視点です。特に、自分のせいでヒロインが目の前で身投げしてしまったことで、正気を失ったヒーローのどん底具合が最高です…!何度読んでも胸が高鳴る…!心情の移り変わりが秀逸で、復讐心と、抗えないほどヒロインへ惹かれていく気持ちの板挟みで苦悩し、彼女を失った現実を受け入れられず、のたうち回るほどの苦しみを味わいます。最終的には自分も後追いしようとするところまで、追い詰められます。さらに終盤、私たちはうまく行かない、離れるべきだと伝えるヒロインと、どうしても諦めきれずヒロインに泣いて追い縋るヒーローの対話は、とても読み応えがありました。ヒーローの罪は消えないし、現実的に考えればヒロインのそばにいるべき人間ではないと思いますが、それでもヒロインを手離すなんて耐えられないヒーローは、本当に自分勝手だけど、私はタイプです笑。後悔に濡れ、ヒロインに縋り付くヒーローがタイプの方に、めちゃくちゃおすすめの作品です!ぜひ読んでみてください。
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