いつか君とはなれ【単行本版】
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いつか君とはなれ【単行本版】

井上ナヲ

心に沁みた作品でした

ネタバレ
2025年1月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 近所の子どもたちからは、お化け屋敷と呼ばれているアパートは賄付きの下宿屋で、高校生の喜一が、この古いアパートを管理人として取り仕切り、義理の父親で人形作家の次郎や他のメンツの面倒を見ている。次郎は生活力がゼロというか、仕事に夢中になり過ぎて、文字通り寝食を忘れてしまうことなどザラで、低血糖になって(寝不足なのかもしれない)廊下で行き倒れていたところを住人に発見されたりしている。喜一は次郎のことが大好きで、とにかく「次郎第一主義」を貫いている喜一だった。ある時友人の女の子を連れてきた喜一に、住人の一人が彼女じゃないのかと聞いてくるが、自分に次郎以上に大切な存在ができるとは想像もできない喜一だった。次郎が時々手に取る未完成の人形があった。次郎の古いスケッチブックに、亡くなった実父の姿を見つけた喜一は、それが未完成の人形のモデルではないかと思って……。次郎は喜一の父親が好きで、彼が死んだことを知り、その妻子を呼び寄せたのだ。そして喜一の母親と結婚し、喜一とは義理の親子となったが、喜一の母親も亡くなってしまった。次郎への想いが叶わず家を出た喜一だったが……。すごく心に沁みた作品でした。
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