このレビューはネタバレを含みます▼
30代から40代。若くもないし、と言って老いてるわけもないけれど、加齢臭やメタボに片足突っ込み年代。ほぼ出世順列も分かってきて、男としてもピークも自覚して、何となく物寂しいお年頃。そんな旧ヤングメンを描いたら絶品な先生の主人公達。年を取っていくことは若い自分と決別し続けることでもあるけれど、それとて捨てたもんじゃない。考え方一つでね。ウィスキーの苦さが胃ではなく心に沁みて、シワも頑張って生きてきた勲章と思えば、胸も反り返る。考え方一つでね。
副業兼趣味も兼ね、アフターファイブになるとスーツを脱ぎ捨て、会員制クラブで踊りまくるついでに、ワンナイト相手を探す清水は、れっきとした営業部の課長さん。少々どころか、大分乱れた男関係。そんな彼の心を乱し始めたのは、同社法務部の沖野次長でした。妻に逃げられた沖野は、妻の男が働く、そう、清水がジョナサンの名で踊るクラブへと。ノンケで真面目な沖野にしてみたら、決して踏み入れること無き店。更に、まさか。会社で有能な清水が、ほぼ全裸姿で腰振って踊ってるなんて。決して惹かれ合うこと無き二人だったのに。今回のキューピッドは別れた奥さんでした。 先生の主人公達は人生、恋愛を完全に捨てきれずに、憂いを紛らわすのに藻掻いている姿がやるせない。恋愛だけでもエネルギーがいるのに、世間の目や認められ無いリスクを背負い、果てはノンケに傷付けられる姿は痛々しい限り。それでも、最後に誰もこぼれ落とさないのが、先生の作品。
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