半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
有馬嵐
このレビューはネタバレを含みます▼
噂に違わぬ名作でした…。溺愛、スパダリなどこんな高校生いないよ!みたいなBLが多い中、黒川くんも白木くんもどちらも年相応に幼く、出会いながら立ち止まり、すれ違ってゆくのがリアルで良かったです。高校生の黒川はお兄ちゃん気質で白木を放っておけないけど、幼さ故に手段を間違え、結果的に白木を救えずにおわり、自分の不甲斐なさを引きずって大人になります。救えなかったのに一緒にいられたことが楽しかった、自分だけ温かい日常に戻れたことに心底安堵してしまった、数々の罪悪感を抱え続けてきた彼に、再会した白木くんがかける言葉ひとつひとつが、その呪いを解いてゆく様には涙せずにいられません。素晴らしいタイトル回収、「きらきらしとるねえ」、本当に胸に響く言葉選び。いつも笑っている白木くんの表情の崩れる瞬間。あれから話しかけられなかった訳。繊細に作り込まれた世界。絶対何度も読み返す。
いいね