チ。―地球の運動について―
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チ。―地球の運動について―

魚豊

中世も現代も変わらない

2025年2月11日
異端審問官とか代闘士とか中世ヨーロッパの血生臭い職業の人が現代的な身近な感じのキャラで描かれているのが面白かったです。仕事だから、と割り切りながら凄惨なことをやっている。自分が中世にいたら保身と盲信のC教バリバリ信者として生きていたことでしょう。そんな読み方ができるのがこの作品のすごいとこだと私は思いました。
テーマは知を追求する人間の有様について、ですが、目に見えない領域のことを誰かがそういってるからそう信じてる、というあり方って中世も現代もあまり変わらないなという印象が受けました。中世は教会がそういってるからそうなんだ、と思われてて、現代はメディアがそういうから、SNSで信頼してる誰かがそういうから、をみんな信じてる。いまは地動説が信じられてますが、そういうことになってるからで、真実は天動説かもしれない。現代でも地球は平らだと主張する人はいる。人間の集合意識の中である知識が前提になると信念となりそのミラーとして異端という立場をつくりだして社会がなんか酷い感じになってくる。自分なりに疑いを持つということが限られた生き方しかできない人間の最後のフロンティアで人間の質を高めるポイントなんでしょう。現代も時代の移り変わりでいろんな信念や情報が飛び交っていますが、本当にそうなのか?と科学者のように自分なりに問いかける姿勢が今こそ必要なんでしょうね
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